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探索的テストとは?目的や観点、やり方について解説!

探索的テストとは?目的や観点、やり方について解説!

探索的テストは、テストの設計・実行・評価を同時に行う、柔軟で直感的なテスト手法です。あらかじめ詳細なテストケースを用意せず、テスターの知識・経験・創造力を活かして、ソフトウェアの不具合や問題を探し出すことを目的としています。

そこで本記事では、探索的テストの考え方やメリット、注意点について解説します。本記事をお読みいただくことで、探索的テストのポイントを理解し、自社の開発をスムーズに進めることができますので、是非とも最後までお読みください。

探索的テストとは?

探索的テストは、ソフトウェアテストの手法の一つであり、テストの設計、実行、評価を同時に行うことが特徴です。

探索的テストでは、あらかじめ詳細なテストケースを作成するのではなく、テスターの知識や経験、さらには創造力を活かして、ソフトウェアの不具合や問題を見つけ出すことを目的としています。探索的テストは、特に複雑なシステムや新しい機能のテストにおいて、その柔軟性と直感的なアプローチが評価されています。

探索的テストが注目される理由

探索的テストが近年注目を集めている理由は、ソフトウェア開発の現場におけるニーズの変化にあります。

従来のテスト手法では、詳細なテストケースを事前に作成し、それに基づいてテストを実施することが一般的でした。しかし、アジャイル開発やDevOpsの普及により、迅速なリリースと柔軟な対応が求められるようになりました。このような環境では、探索的テストのように、テスターの直感や経験を活かして即座に問題を発見する手法が非常に有効です。

また、探索的テストは、テストの実施中に新たな視点やアイデアを得ることができるため、より多角的な品質評価が可能です。

探索的テストとモンキーテストの違い

探索的テストとモンキーテストは、どちらも柔軟なテスト手法ですが、その目的やアプローチには明確な違いがあります。

探索的テストは、特定のシナリオやテストケースに縛られず、自由に操作を行いながら、直感的に問題を見つけ出します。

一方、モンキーテストは、テスターが無作為に操作を行うことで、ソフトウェアの耐障害性や安定性を評価する手法です。モンキーテストでは、特定の目的や計画がなく、ただランダムにボタンを押したり、入力を行ったりすることで、予期しないエラーやクラッシュを引き起こすことを狙います。

このため、モンキーテストは、特にシステムの堅牢性を確認するために有効ですが、探索的テストのように深い洞察を得ることは難しいと言えます。

探索的テストとアドホックテスト

探索的テストとアドホックテストは、どちらも事前に詳細なテストケースを作成せずに実施されるテスト手法ですが、その目的やアプローチには明確な違いがあります。

探索的テストは、テストの実施中に得られた情報を基に、テストの方向性を柔軟に変更することができるため、より深い洞察を得ることが可能です。

一方、アドホックテストは、特に計画や目的を持たずに行われるテストであり、テスターの直感や感覚に頼る部分が大きいです。アドホックテストは、特定のシナリオや条件に基づかず、自由な発想でソフトウェアを評価するため、短時間で実施できる利点がありますが、結果の再現性や体系的な評価が難しいという欠点もあります。

探索的テストのメリット

探索的テストには、従来のテスト手法にはない多くのメリットがあります。

メリットを活かすことで、探索的テストはソフトウェア開発プロセスにおいて重要な役割を果たすことができるのです。

ユーザー視点での品質評価

探索的テストの大きなメリットの一つは、ユーザー視点での品質評価が可能である点です。

探索的テストではテスターが自らの経験や直感を活かして自由にテストを行うため、よりリアルなユーザー体験に基づいた評価が可能になります。

このアプローチにより、テスターは実際の使用シナリオを想定しながら、ユーザーがどのようにソフトウェアを利用するかを考慮しつつテストを進めます。その結果、ユーザーが遭遇する可能性のある問題や不具合を見つけやすくなり、製品の品質向上に寄与します。

予期せぬ問題の早期発見

探索的テストの大きなメリットの一つは、予期せぬ問題を早期に発見できる点です。

探索的テストではテスターが自由に思考し、直感に従ってテストを進めることができるため、通常のテストでは見つけにくい問題を発見するチャンスが増えます。

この手法では、テスターの経験や知識を活かし、実際のユーザーの行動に近い形でソフトウェアを評価します。そのため、ユーザーが直面する可能性のあるシナリオを想定しながら、さまざまな角度からアプローチすることができます。これにより、開発段階での不具合を早期に発見し、修正することが可能となり、最終的には製品の品質向上につながります。

テストに携わるエンジニアのスキル向上と創造性の発揮

探索的テストは、テストに携わるエンジニアにとって、スキル向上や創造性を発揮する絶好の機会を提供します。

探索的テストでは、テスターが自らの知識や経験を基に、自由にテストを行うことが求められます。このプロセスは、エンジニアが新たな視点を持ち、問題解決能力を高めることに繋がります。

また、探索的テストは、エンジニアが実際のユーザーの視点を意識しながらテストを行うため、ユーザーが直面する可能性のある問題をよりリアルに把握することができます。このような体験を通じて、エンジニアは製品の品質向上に寄与するだけでなく、自身のスキルセットを広げることができるのです。

探索的テストのデメリット

探索的テストは多くの利点を持つ一方で、いくつかのデメリットも存在します。これらのデメリットを理解することで、より効果的にテストを実施し、リスクを軽減することが可能です。

再現性の課題

探索的テストの特徴の一つは、テスターの直感や経験に基づいてテストが行われる点です。

探索的テストは、柔軟性や創造性を発揮することができる一方で、再現性の課題を引き起こすことがあります。

再現性が低いと、問題の特定や修正が難しくなり、開発チームにとっては大きな障害となります。特に、探索的テストではテストケースが明確に定義されていないため、同じテストを別のテスターが実施した場合に、異なる結果が得られる可能性が高まります。

再現性の課題を克服するためには、テストの実施過程を記録し、どのような観点でテストを行ったのかを明確にすることが重要です。探索的テストはその特性上、再現性の確保が難しい面もありますが、適切な管理と記録を行うことで、より効果的なテスト手法として活用することが可能です。

テスト漏れのリスク

探索的テストは、その柔軟性と直感的なアプローチから多くの利点を持つ一方で、テスト漏れのリスクも伴います。

あらかじめ詳細なテストケースを用意せず、テスターの経験や知識に依存するため、特定の機能やシナリオが見落とされる可能性があります。

また、探索的テストはテスターの創造性を活かす手法であるため、テスターのスキルや経験に大きく依存します。このため、チーム全体のスキルレベルや知識の共有が重要となります。

さらに、探索的テストはその性質上、テストの実施状況や結果を文書化することが難しい場合があります。このような理由から、探索的テストを実施する際には、テスト漏れを防ぐための対策を講じることが求められます。

エンジニアのスキルへの依存

探索的テストは、テストの設計や実行がテスターの直感や判断に委ねられるため、エンジニアの能力がテストの質に直結します。このため、テスターが持つ知識や技術力が不足している場合、十分なテストが行えず、結果としてソフトウェアの品質に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、探索的テストは柔軟性が高い反面、特定の分野に特化した知識が必要となることもあります。このように、エンジニアのスキルへの依存は、探索的テストの実施において重要な要素であり、テスターの育成やスキル向上が求められます。

そのため、企業は探索的テストを効果的に活用するために、テスターの教育やトレーニングに力を入れる必要があります。

探索的テストの実施方法

探索的テストを効果的に実施するためには、いくつかの方法があります。これらの方法は、テスターの創造性や経験を活かしながら、柔軟にテストを進めることを可能にします。

セッションベースドテスト

セッションベースドテストは、探索的テストの一形態であり、特定の時間枠内でテストを実施する方法です。

セッションベースドテストでは、テストを行う時間をセッションとして区切り、その中でテスターが自由に探索しながらソフトウェアの品質を評価します。

このテスト手法の大きな特徴は、テストの実施中に得られた知見や発見を記録することです。テスターは、セッションの開始時にテストの目的や観点を設定し、その後は自由に探索を行います。

セッションベースドテストの利点は、テスターが自らの経験や直感を活かして柔軟にテストを行える点です。これにより、従来のテスト手法では見逃されがちな不具合や問題を発見する可能性が高まります。

テストチャーターを使用する方法

テストチャーターは、探索的テストを効果的に実施するための重要なツールです。

テストチャーターとは、特定のテストセッションにおける目的や範囲、テスト対象の機能、テストの観点を明確にした文書のことを指します。

テストチャーターを作成する際には、まずテストの目的を明確にすることが重要です。これにより、テスターは自分の知識や経験を活かしながら、効率的にテストを進めることができます。

また、テストチャーターはテストセッションの進行中に柔軟に変更することも可能です。テストを進める中で新たな発見や疑問が生じた場合、チャーターを見直し、テストの焦点を調整することで、より効果的な探索が可能になります。

ツアーベーステスト

ツアーベーステストは、探索的テストの一手法であり、特定の「ツアー」を設定してその範囲内でテストを行うアプローチです。

ツアーベーステストでは、テスターが特定の機能やシナリオに基づいて、実際のユーザーの行動を模倣しながらテストを進めます。

ツアーベーステストの大きな利点は、テスターが事前に設定されたシナリオに従って行動するため、より焦点を絞ったテストが可能になる点です。

さらに、ツアーベーステストはチーム内でのコミュニケーションを促進する効果もあります。テスター同士がツアーの内容を共有し、意見を交換することで、より多角的な視点からのテストが実現します。

ペア探索的テスト

ペア探索的テストは、2人のテスターが協力して行う探索的テストの一形態です。

ペア探索的テストでは、テスター同士がアイデアを出し合い、相互にフィードバックを行うことで、より多角的な視点からソフトウェアの品質を評価します。

ペア探索的テストの大きな利点は、テスター同士のコミュニケーションを促進し、問題発見の効率を高める点にあります。

ただし、ペア探索的テストを実施する際には、テスター同士の役割分担やコミュニケーションの取り方に注意が必要です。効果的なテストを行うためには、各テスターが自分の強みを活かしつつ、協力してテストを進めることが求められます。

まとめ

探索的テストは、ソフトウェア開発において非常に重要な役割を果たすテスト手法です。テスターの知識や経験を最大限に活かし、柔軟かつ直感的に不具合を発見することができます。

一方で、探索的テストには再現性の課題やテスト漏れのリスクが伴うため、実施には注意が必要です。\これらのメリットとデメリットを理解し、適切に活用することで、探索的テストはソフトウェアの品質向上に寄与することができます。

今後の開発において、探索的テストを効果的に取り入れ、より高品質なソフトウェアを提供できるよう努めていきましょう。

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